
10月24日公開の映画「恋に至る病」で、純粋さと危うさを併せ持つ高校生・寄河景を演じた山田杏奈。繊細な感情の機微から、人を惹きつけるカリスマ性まで、多層的なキャラクターを巧みに体現した。山田だからこそ…という大きな期待を背負う作品が続くなか、役柄や自身の立ち位置とどう向き合っているのか。今回のインタビューでは、山田に俳優としての現在地と、その先に描く未来について語ってもらった。 【撮りおろし8枚】クシャっとした笑顔がかわいい山田杏奈 ■寄河景の純粋さと計算、好きだけでは終わらない感情の層 SNSで大きな反響を呼んだ斜線堂有紀による同名恋愛小説を、なにわ男子・長尾謙杜と山田杏奈がW主演を務めて映画化された本作。山田は誰からも好かれるクラスの人気者でありつつ、長尾演じる内気な男子高校生を翻弄する寄河景を好演している。 ――寄河景(以下、景)は、宮嶺のことが本当に好きだったのか、それともただ操ろうとしていただけなのか、観客としてはどちらとも取れるように感じました。演じる上で、どちらかに軸足を置いていたのでしょうか。 物事は白黒はっきり分けられるものではないですし、観る方によっていろいろな見え方ができればいいなという思いもありました。 個人的には、宮嶺を好きだったというくらいのかわいげが彼女にあってほしいな、という気持ちで演じていました。全てをコントロールしていたとなると、キャラクターとして少し面白みに欠けるな、という思いもありました。思わせぶりな行動は意図的にしていると思いますが、彼女の感情がゼロかというと、そうではない。その方が気持ちの層が厚くなって良いなと考えました。 ――クラスの中心にいる人気者というカリスマ的な空気感は、どのように表現しようと考えましたか? クラスに1人はいる、人を惹きつけてしまうような存在ですよね。私自身はそういうタイプの人間ではないと自覚しているので、どうすればいいかと考えた時に、心理学の本を少し読んでみたりしました。人が何かをしたいと思うのはどういう時なのか。特にスピーチのシーンなどは、ナレーションのお仕事をするような気持ちで、きっちりと作りこんで演じたいと思っていました。そういったアプローチで、うまくカリスマ性があるように見せられないかと考えながら演じていました。 ――原作では、景が作ったとされる自殺教唆ゲーム「ブルーモルフォ」という存在が彼女のサイコパス的な側面を象徴していましたが、映画ではその部分の描き方も異なりました。景の「化け物」的な側面は、どのように解釈して表現しようとしましたか? その部分は映画の中ではあまりはっきりと描かれてはいないんです。誰かの口から語られることはありますが、そこは想像の余地ということなのだと思います。人間は色々なものに興味が湧いたり熱中したりしますが、彼女にとっては、それがブルーモルフォだったのかな、という気持ちで演じていました。 ――今回の役の難しさは、そのあたりにありましたか? 彼女が意図してやっていることと、本当の気持ちとのバランスを取ることが難しかった点です。セリフで言っていること、実際の振る舞い、そして彼女が計画していることや思っていることが、それぞれ乖離している部分があります。それをいろいろな層で見せられたらいいなと思っていました。 ■起用理由は聞かない「その枠に自分を狭めてしまいそう」 ――山田さんには、景のように表面は明るくても内に複雑なものを抱えているような、一筋縄ではいかない役のオファーが多い印象です。そういった役が来た時、「来たな」というような感覚はありますか? そのように思ってくださったり、私に演じてほしいと思ってくださる方がいるのは、うれしいことだなと思います。ただ、やはり難しさはあるので、どう取り組んでいこうかといつも悩みます。 ある意味、最初のイメージとして私の名前を思い浮かべていただけるというのは、1つの利点でもあるのかなと感じます。この役なら、と企画段階で名前が挙がるというのはうれしいですし、ありがたいことだと感じています。 ――そういった役柄が多く来ることで、ご自身で何か求められていると感じることはありますか? 「目の表現」と言ってくださる方が多いので、自分で言うのもおこがましいのですが、そういった部分があるのかもしれません。今回の役で言うと、先ほどお話ししたように、言動と思考が乖離している部分があるので、そこでうまく「目で表現する」ということが使えればいいなと考えながら演じていました。 ――「山田さんに任せておけば大丈夫だろう」という周囲からの信頼感や期待が、プレッシャーになることはありませんか? あまり気にしないようにしています(笑)。気にしすぎてはいけない、と思っているのかもしれません。もちろん、「こういう役だから声をかけてくださったのかな」とか、「こういう役を観たいと思ってくださっているのかな」ということは薄々感じ取ってはいます。でも、そこから先はあえて気にしないようにしています。 ――起用の理由を監督などに直接尋ねることはないのですか? それもあまりないですね。「なぜこの役が自分なのだろう」と気にならないわけではありませんが、直接聞くことはあまりありません。というのも、どんな役でも演じられることが役者としての1番の理想だと思っているからです。起用の理由を聞いてしまうと、かえってその枠に自分を狭めてしまいそうで…。 私にこの役を、と思ってくださることはとてもうれしいですし、そこに私の強みがあるのかもしれないとは感じています。でも、「だから私に声がかかったんだ」とは思いたくないという気持ちがあります。あまり気にせずに、自分のベストを尽くしたいという気持ちの方が強いですね。 ――理由を聞いてしまうと、それが答えになってしまって、そこから超えられないかもしれない? そうなんです。きっと声をかけてくださる方も、いろいろと想像してくださっているのだと思います。その期待には応えたいですし、それを超えるものを現場で作っていくことが大切だと考えているので、あまり決めつけすぎずにいたいです。 ■“高校生”を俯瞰で見れるように「当時はわからなかった」 ――今回は高校生役でしたが、ご自身が学生時代を終えた今、改めて学生役を演じることにどう向き合っていますか? 私もそろそろどうなのかなと自分でも思っていたのですが(笑)。学生だった頃よりも、今は「高校生」というものを俯瞰で見られるようになったと感じています。当時は分からなかったのですが、卒業して少し経った頃が、自分の中では1番迷っていた時期でした。あの頃ほどの気持ちの強さはないけれど、まだ感覚は近いです。自分に何を足して、何を引けばいいのかをよく考えていました。 今はもうその時期から離れたことで、逆にゼロから役作りができる感覚です。今回は「高校生」を作るというより、「寄河景」という1人の人間を作るという意識で臨めました。俯瞰で見られるようになったことが、1つ良い方向に働いたのかもしれません。あとは、見た目がいけるかどうかを考えていました(笑)。 ――廣木(隆一)監督の現場はいかがでしたか? とても穏やかな方で、お会いする前は少し怖い方なのかなと思っていたのですが、すごく柔らかく話してくださいました。否定から入らず、とてもフラットな視点でまず芝居を見てくださっているなという印象を強く受けました。 多くのことを言葉で説明されるわけではないのですが、例えばモノレールの中から景が自転車で走る宮嶺を見ているシーンで、「『頑張れ』って小さい声で言ってみようか」と撮影が始まってから提案してくださって。完成した作品を観た時に、その一言がすごく効いていて、さすがだなと思うことが多々ありました。言葉数が多くない分、深く考えさせてくださる方ですね。 ――宮嶺役の長尾謙杜さんとは「HOMESTAY(ホームステイ)」以来、3年ぶりの共演ですね。 3年前も、長尾くんがいじめられていて、私が幼馴染として彼のことを好き、という役柄だったので、関係性的には共通する部分がありました。3年経ってまたご一緒できて良かったなと思います。 彼が演じる宮嶺にはすごく魅了されましたし、私個人としては、景という役は気持ちの在りかが分かりにくい難しい役どころだったので、知っている役者さんである長尾くんとご一緒できたのはすごくありがたかったです。彼が演じる宮嶺のまっすぐさをただ信じることができたので、彼が相手役でいてくれたからこそだと、強く感じました。すごく信頼を置いてお芝居をさせていただきました。 ■「人は人、自分は自分」という考えを大事に ――これだけ複雑な役を演じていると、メンタルを保つのが大変な時もあるかと思います。ご自身が心を安定させるために心がけていることはありますか? 私、あまり落ち込まないタイプなんです。なぜかなと考えてみると、結構すぐにいろいろなことを忘れるからだと思います。それに、「人は人、自分は自分」という考え方は、持っていていいのかなと思っています。もちろん、誰かのアドバイスをきちんと受け入れなければいけない時もあります。 でも、それを気にしすぎて迷いが出てしまうくらいなら、そこから少し距離を置くというのも、大事な選択肢だと考えて生きています。なので、普段から「あまり気にしない」ということを心がけているかもしれません。 ――10代から活躍されてきて、キャリアを重ねていくことへの楽しみや、逆に怖さを感じることはありますか? 少し怖さはあります。このお仕事をできる限り長く続けていきたいと思っているからこそ、「この先どうなるんだろう」という不安が、0.00何パーセントかは常にあります。ただ、このお仕事を始めてそれなりの年数が経ってきたので、「なるようにしかならないな」と、少しずつ達観できるようになってきました。自分を落ち着かせるための手段も、以前よりは増えてきたと思います。 ――最後に、今後どのような俳優になっていきたいですか? 欲を言えば、どんな役でもやってみたいんです。男性の役でも、おじいちゃんおばあちゃんの役でも、もしできるなら挑戦したい。だからこそ、あまり枠を意識しないようにしています。未来に期待はしつつも、「今の自分にできることは、今できることをやるだけ」という気持ちを大切に、それが次につながっていけばいいなという思いでいます。 ◆取材・文=磯部正和、撮影=MANAMI [EXCLUDE]
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